【最新動向】Amazon送料無料の購入金額基準を「1500円」値上げへ|出品者への影響と今後重要度が増す施策とは?
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2024年2月に、Amazonから「注文時の配送料」に関して新しい発表がありました。
Amazon出品者の皆様はご存知でしょうか?
2024年3月29日以降、「Amazon.co.jpから配送される商品を注文した際、通常配送の配送料無料になる購入金額の基準が2,000円から3,500円に変更(1500円引き上げ)」という発表です。
今回の記事では、送料無料になる購入金額の金順が引き上がることで、Amazon出品者の皆様にどのような影響があるのかという視点で解説いたします。
値上げの背景にある市場分析、そこから考えられる重要度が増す可能性のある施策について、アグザルファの現役コンサルタントがお伝えいたします。
Amazonの動向を知っておくことで、今後の売上戦略の計画や変更にお役立ていただけますので、確認する良い機会にしていただければ幸いです。
目次
「送料無料になる注文金額の基準が変更」とは?
冒頭でもお伝えいたしましたが、2024年3月29日以降、Amazon.co.jpから配送される商品を注文した際、通常配送の配送料無料になる基準が2,000円から3,500円に変更(1500円引き上げ)」に変更されます。
Amazonといえば「送料無料」というイメージを持つ方が多い中、実際のところ「送料無料」になるのは、以下の場合に限られます。
- 有料のAmazonプライム会員になる(購入金額問わず送料無料)
- 「出荷元:Amazon」の商品を「配送料無料になる購入金額以上」で同時に購入する(▶︎今回の変更ポイントはココ!)
- 「出荷元:出品者」の商品で送料無料販売している商品を購入する
- Amazonで初めて購入する(初回購入:注文金額に関わらず送料無料)
今回の変更で関係があるのは「非プライム会員」の場合です。
プライム会員の場合、これまで通り購入金額問わず配送料無料です。
一方、非プライム会員の場合、これまで「2,000円以上購入→配送料無料」だったのが2024年3月29日以降は「3,500円以上購入→配送料無料」に変更となります。(下図赤枠)
なお、非プライム会員の3,500円以下の注文に対しては、別途410円(配送地域によっては450円)の配送料が発生します。こちらについての変更はありませんでした。
購入金額引き上げの背景
引き上げの背景には、大きく2点あると考えています。
Amazonより具体的な理由が発表されていないため、あくまでも弊社見解になります。
①設備投資回収やコストの高騰
日本国内で拡大してきた配送ネットワーク構築にかかった設備投資の回収*、燃料費の高騰、ドライバーの時間外労働などの規制を強化する「2024年問題」における人的コスト・物流コストの上昇といった、昨今の様々な情勢が重なっているのではないでしょうか。
2023年8月はプライム会費を「4,900円 → 5,900円」に値上げを実施しています。
こちらも明確な理由は発表されていないものの、上記理由が関係していると考えられます。
今回の送料無料になる注文金額のライン引き上げについても、同様の理由が背景にあると考えられるでしょう。
*2023年は2カ所のフルフィルメントセンターを新設し、デリバリーステーションは11カ所新設。2024年は日本最大級の物流センターを新設。
②プライム会員の入会促進
Amazonが発表した2023年10月~12月(第四四半期)の決算によると、「プライム会員」によるサブスクリプションの売上高が昨対14%増と堅調に伸びており、Amazonにとって重要な収入基盤の一つであることが伺えます。
そのため、プライム会員へ入会してもらうことで、ユーザーの囲い込みと安定した収入を得ることにつながります。
(次項では、もう少し詳しく触れています)
そのため、注文金額を1500円引き上げることで、「プライム会員になる価値があるかも⋯」と入会へ繋げる狙いもあるのかもしれません。
Amazonによる値上げの推移
前述でプライム会員費の値上げについて軽く触れましたが、最近はAmazonに限らず様々なサービスで利用基準の変更や値上げをよく耳にしませんでしょうか?
ここで、少し気になったので「Amazonのプライム会員費」と「配送料」に関する値上げについて、過去の推移を調べてみました。
まずは、「Amazonのプライム会員費」の推移です。
◆プライム会員費用(年額)
2007年6月 3,900円
2019年4月 3,900円 → 4,900円
2023年8月 4,900円 → 5,900円
上記のように2019年から既に2度値上げされたことが確認できます。
アメリカでは2024年3月時点で年額US$139(為替レートによりますが日本円で20,000円前後)である事から、アメリカと比べるとまだまだお手頃な会員費ですが、日本でも今後更なる値上げに踏み切るのか注目です。
続いて、「配送料」です。(Amazonが発送する配送料)
◆Amazon.co.jpが発送する商品配送料(通常発送)
2010年11月 全商品送料無料を通常サービス化
2016年4月 全商品送料無料 → 2,000円以下の商品は350円(*1)
2018年4月 2,000円以下の商品は350円 → 2,000円以下の商品は400円(*2)
2024年3月 2,000円以下の商品は400円 → 3,500円以下の商品は410円(*3)Amazonプライム会員は、注文価格に関わらず全商品無料で配送されます。
※2018年4月以降はお届け先が「北海道・九州・沖縄・離島」の場合は450円。
※全ての金額は税込み
参照元:以下記載
*1: https://ecnomikata.com/ecnews/8557/
*2: https://japan.cnet.com/article/35117181/
*3: https://ecnomikata.com/ecnews/42059/
前項でも触れた通り、「送料無料」になる場面は実は限られているわけですが、“Amazonといえば送料無料” のサービスイメージが根強く残っている背景には、2010年から2016年まで行っていた「全商品送料無料」の時代があったことと、プライム会員費が年額3,900円だった頃に多く獲得したプライム会員(*4)が享受してきた送料無料特典が形成してきたのかもしれません。
*4:プライム会員の中でも2007年6月~2019年4月の12年間で大部分の会員形成しているため、左記の12年間でプライム会員になった会員の影響が大きいと推測しています。
”サブスク値上げ”の波がAmazonにも!?
Amazonが無料配送の基準を「2,000円 → 3,500円に引き上げた背景には、「配送料無料」特典が受けられるプライム会員への入会を促す狙いが考えられます。
Amazonが発表(*1)した2023年10月~12月(第四四半期)の「プライム会員」によるサブスクリプションの売上高は昨対14%増の104億8800万ドルを記録しており、Amazonにとって堅調に伸びている重要な収入基盤であることが伺えます。
※サブスクリプションの売上高には、年会費以外にデジタルビデオ、オーディオブック、デジタル音楽、電子書籍、などのサブスクリプションサービスが含まれます。
そもそも、プライム会員のような”サブスクリプション(定期購入)”サービスは、提供企業側にとっては、「導入コストが高い」、「利益が出るまでに時間がかかる」などのデメリットがあると言われていますが、反対に「安定した収入を得ることができる」、「収入の予測が立てやすい」というメリットがあるとも言われます。未来予測が難しい現代においても、事業計画の意思決定を助けてくれる側面があるのです。
サブスクサービスは利用者にとっても、簡単にサービスを開始でき、期間中は使い放題というメリットがあるため、我々の生活に欠かせないものになってきました。
その証拠に、株式会社ジャストシステムによる「サブスク利用実態調査」(*2)では、20代の62.4%の人が何らかのサブスクを使ったことがあるとの結果や、サブスクで1,000~3,000円未満/月に使っている層が最も多く全体の31%を占めていることが分かっております。
このように世の中に浸透してきたサブスクですが、昨今、定額費用の値上げのニュースを耳にします。
値上げの理由はさまざまな事情や背景があると思いますが、いくつかの成功を収めたサブスクサービスは、その”構築期”や”集客期”が終わり、いよいよ”収穫期”つまり収益化のフェーズを迎えている可能性も考えられます。
直近で値上げが発表されたサブスクサービスを以下の切り口で何点かまとめてみました。
・日本でのサービス開始日時
・直近の変更点
◆YouTube Premium(動画配信)
日本でのサービス開始:2018年11月
直近の変更:2023年8月 月額1,180円 → 1,280円◆Netflix(動画配信)
日本でのサービス開始:2015年9月
直近の変更:2023月10月24日 月額990円のベーシックプランの新規受付停止◆DAZN(スポーツ配信)
日本でのサービス開始:2016年8月 月額1,890円でサービス開始
直近の変更:以下記載
2019年4月 月額1,890円 → 1,925円
2022年2月 月額1,925円 → 3,000円
2023年2月 月額3,000円 → 3,700円
2024年1月 月額3,700円 → 4,200円
参照元:以下記載
*1: https://ir.aboutamazon.com/news-release/news-release-details/2024/Amazon.com-Announces-Fourth-Quarter-Results/
*2: 株式会社ジャストシステムによる「サブスク利用実態調査」(調査期間:2024年2月2日~7日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000491.000055900.html
共通しているのは、サービス開始から5~10年ほど経過しており、ここ数年で段階的に値上げや変更があったことが確認できます。
今後の展開については分かりませんが、”収穫期”である収益化のフェーズと捉えるのであれば、この傾向が続く可能性もあるのではないでしょうか。
今後Amazon出品で重要度が増す施策とは?
前項ではサブスクの値上げをテーマにお話をさせていただきましたが、これは「1ユーザー当たりの利用金額」という観点であり、もう一つ重要な「利用者数」という点についてもお話させていただきます。
ご存知のように、日本の総人口は減少しています。
2008年をピークに14年連続で減少が続いており、今後もこの流れは続くことが予想されています。
これはAmazon販売においても無関係な話ではありません。
限られた”ユーザーの取り合い”または”リピーターの取り合い”が、ビジネスの浮沈を左右する要素であることは明らかです。
商品によってはリピート購入の期待が難しいケースもあると思いますが、Amazon販売においてもリピート購入、別の言い方をすると”サブスク”を促進する、ユーザーの囲い込み施策の重要性が今後さらに増していくことが考えられるのではないでしょうか?
そこで、具体的にAmazon販売で行っておくべき施策について解説いたします。
施策①:定期おトク便割引
生活用品を中心に継続的に消費する品物の定期注文サービスである「定期おトク便」利用者に対して、通常価格から割引率を設定して販売することでリピート購入者を増やすことにつながります。
「割引率は5%」でも一定の効果は出ると思いますが、ユーザーが「定期おトク便に申し込んでみようかな」と考えているところを想像し、その後押しができるよう可能な限り「割引率10%」の適用をおすすめします。
割引率の変更はいつでも可能ですので、まずは期間を絞っての実施でも構いません。
10%の割引を適用して”リピーターの獲得”を優先する時期を作っていただくことで、売上の基盤作りを助けてくれることになります。
▼定期おトク便の登録方法
定期おトク便で割引を設定する前に、商品が定期おトク便に登録されている必要があります。
商品がFBAから発送されていることや、一定の販売実績を有していることなど参加条件がありますのでまずは以下のヘルプページをご確認ください。
原則として、システムの自動判定により定期おトク便へ登録されることとなっております。
システムで自動登録されるまで参加条件を満たすように運用していきましょう。
参照:Amazon 出品者のヘルプ FBA Amazon定期おトク便
▼割引率の設定・確認方法
セラーセントラル管理画面>設定>FBAの設定>「Amazon定期おトク便」の設定>編集
施策②:定期おトク便クーポン
定期おトク便クーポンとは、該当商品を定期おトク便に初めて登録した利用者に対して”初回配送分のみ”にクーポン割引を設定できる機能です。
「定期おトク便クーポン」を設定することで、割引が受けられる商品であることが検索結果や商品ページ上で表示されます。出品者は定期おトク便への誘致をより能動的に実施することが可能になり、ユーザーに対しては申し込みの後押しができる施策になりますので、ユーザー獲得に期待ができる一手です。
初回配送分がどのように割引になるのか。
例えば、「定期おトク便割引 → 5%割引」、「定期おトク便クーポン → 10%割引」で設定した場合、以下のようになります。
・初回配送時:計15%引き
・2回目以降の定期おトク便購入時:計5%引き
▼定期おトク便クーポンの設定方法
セラーセントラル管理画面>広告>クーポン>「Amazon定期おトク便クーポン>Amazon定期おトク便のクーポンを作成する」をクリック
設定方法については弊社ブログで詳しくご説明しておりますのでご確認いただければと思います。⬇︎
また、定期おトク便レポート出力や活用方法についても弊社ブログで解説しておりますので是非お役立ていただけますと幸いです。⬇︎
”ユーザー”や”リピーター”の取り合いがますます激しくなる今後において、ユーザーの囲い込みを意識した取り組みの重要性がAmazonでは増していくことが考えられます。
「定期おトク便割引」には ” 割引 ” がつきものです。
” 割引 ” は利益減少に直結してしまうため悩ましいポイントではありますが、それが売上の基盤になっていくと考えれば、場合によっては広告に費用を回すより有効だと計算が立つ場合もあります。
「定期おトク便割引」の導入について全く検討してこなかった方は、ぜひこの機会に一度検討してみることをお勧めいたします。
まとめ
本記事の内容をまとめますと以下の通りとなります。
- 送料無料になる金額の上限が2,000円→3,500円に変更される
- Amazonによる各サービスの価格は値上げ傾向にある
- プライム会員以外の一部サブスクも値上げ傾向にある
- 人口が減っていく日本において、リピーターユーザーの囲い込みの重要性が増していく
- Amazon販売において定期おトク便割引、定期おトク便クーポンは有効な施策である
「Amazon出品」や「定期おトク便割引」についてお悩みでしたら、まずはお気軽にAmazon専門コンサルのアグザルファまでご相談ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後もAmazon出品者の皆さまにプラスとなる情報を発信して参ります!
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